新井英樹作「RIN」の、とりあえずの(と信じたい)最終巻が発売されました。
新井英樹は、俺が最も好きで、文字通り心酔している漫画家です。
ドラえもんに始まり、コロコロコミックや週間少年ジャンプ等を経て、昨今で言う「萌え系」や、太田出版や大都社あたりが好んで再販するカルトな作品なんかを読み渡って来た俺が、遂に到達した「最高の漫画家」です。俺はゲームにしろアニメにしろ、たいていの場合は「最も好きな〜のひとつ」という表現を使うのですが、新井英樹に関してははっきりと、「最も好きな漫画家」と言えます。
新井英樹はまた嫌われている漫画家でもあると思います。絵柄が嫌な人、描かれる人物が嫌いな人、紡がれる物語に不快感を示す人、様々だと思います。しかし、「わからんヤツはわからんでよし」といったスタンスで描いているのは間違いありません。特に演出は極めて高度で、漫然と読んでいても作者の意図を掴めない事も多いでしょう。しかし、漫画や映像作品といった表現の演出は本来こうあるべきだと思うのです。セリフやモノローグ、回想シーンなどで全てをあからさまに説明する事でしか物語を作る事の出来ない人は一度新井英樹作品を全部読んで欲しいなと心底思いますね。もっとも、見る側がそういったものを求めてるというのも否めませんけど。
RINの最大の魅力は「不遜極まる天才」といった主人公「石川凛」のキャラクター性…と言えますが…そもそもキャラクターとかストーリーとかの要素ごとに分解して語る事自体が間違っているような気もします。そういったもの全てが有機的に混ざり合ってできた「世界」そのものが、新井英樹作品の魅力であり、RINもまたその例に漏れていません。
そもそも、破天荒なキャラなんてのはどこにでも転がっていますが、作品世界のリアリティがあってこそ、それが活きるわけです。ではその「作品世界のリアリティ」とやらはどうやって構築するのか……これは難しいテーマですねえ。新井英樹作品では難なくやっているように見えますが、この「難なく」ってところがポイントなんでしょうね。ほんとは凄く大変なんでしょうけど、それが見えちゃ、ダメですよね。
また、ボクシング漫画でありながら、技術論や戦術論、トレーニングシーンなどは全くと言っていいほどクローズアップされないのも特徴かもしれません。にもかかわらず、試合の描写は他の同ジャンル以上に「濃密な3分間」を感じさせてくれる力量には脱帽です。
正直、リンの生き様をもっともっと見たかったんですが、ともかくこれで「完結」。まあ今月は「宮本から君へ」の愛蔵版が発売されますし、「あまなつ」「八月の光」も同時収録で出るようですので、それを糧に生きていこうと思います。
ちなみに、「RIN」は「SUGAR」という作品の続編にあたるものですので、当然未読の方はこちらを先にどうぞ。
 | シュガー 1 (1) (アッパーズKC) (2002/04/09) 新井 英樹
商品詳細を見る 「せや!! とどのつまりがスポーツや ただしな 天才の略奪行為 暴力的差別が許される競技や 凡人の夢も希望も 努力・気迫・根性も 天才の前には全てが無意味になる 天才の美しさを見せつけるスポーツ それがボクシングや」 |